2010 Fiscal Year Annual Research Report
視覚障害者と晴眼者がともに学ぶ生涯学習支援のための博物館エスコートロボットの開発
Project/Area Number |
21700580
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
塩瀬 隆之 京都大学, 総合博物館, 准教授 (90332759)
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Keywords | ユニバーサルデザイン / 視覚障害者支援 / コミュニケーション / 博物館 / ロボット |
Research Abstract |
本年度の研究目標は,「視覚障害者(全盲)と晴眼者とが生涯学習の一環として共に学ぶ博物館エスコートロボットのための情報保障シナリオを構築すること」である.障害の有無にかかわらず,「ともに」新たな学びを得られるシステムデザインを目指し,視覚障害者と晴眼者それぞれの注意傾向に関する研究をまず行った.とくに視覚障害者の注意傾向に関しては,前年度に手先軌道の変化に着目した推定方法をより確実なものとするため,近赤外分光法NIRS(Near-infrared Spectroscopy)による実験を行った.立体コピー化した線図画を手で触れながらなぞる過程での「気づき」の瞬間の評価検出として,NIRSの出力結果が使用できる可能性を示した.晴眼者の注意傾向については,前年度に実施した注視点計測装置を装着した推定に加え,複数の鑑賞者とガイドのそれぞれに備えた注視点計測装置の計測結果を組み合わせる解析を行った.とくに鑑賞者に相対するガイドが並列した立ち位置か対面した立ち位置かによって共同注視の頻度などに影響を及ぼすことから,解説エスコートにおける適切な身体配置への知見を得ることができた.また,共同注視が解消されるタイミングや身体配置の変化は,解説対象の展示物を次点へ変化させるキューともなりうる可能性が示された.解説エスコートにおける情報保障シナリオに関しては,視覚障害者の情報探索の迷い具合にあわせて予め用意された解説シナリオを分岐させていく方法を選択した.研究の展望としては,情報保障シナリオの分岐ポリシーが,視覚障害者に限らず,聴覚障害者や肢体障害者においても同様に展開できることが期待される.
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