2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21700583
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
福本 尚生 佐賀大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (60346872)
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Keywords | 表面筋電 / 代用発声 / パターン認識 / 無発声音声認識 |
Research Abstract |
本研究の目的は,音声によりコミュニケーションをとることができない場合に,声を発することなく,口唇周辺の表面筋電信号から発話を認識することにある。口唇周辺の複数の筋肉から筋電信号を計測し,コンピュータにより筋電信号を基にした発話認識を行い,必要に応じて代用発声するというシステムの開発を目指している。これまでに複数の被験者で母音の認識実験を行ったが,筋電信号のバラつきのために認識結果も大きく変化する結果を得た。これは,声を出さずに発声することに対する慣れや口唇動作の個人差等が原因と思われ,初めてシステムを利用する被験者の認識率はかなり低い結果であった。しかし、試行を繰り返す毎に認識率は高くなっていった。つまり,人間がシステムの特性に応じて認識しやすい動作を学習していくバイオフィードバックがなされたものと考えている。今年度,複数の被験者の筋電計測データから,平均的な口唇の動きを自己組織化マップを用いて標準パターンとして決定し,この標準パターンに近づくように訓練するシステムを構築した。被験者は,自分の発話動作パターンと,標準パターンの違いをPC画面上の二次元マップとして視覚的に確認できる。被験者は画面に表示される二次元マップを見て口の動かし方を変化させる。マップ上で自分の発声の対応位置と、標準的な発声の対応位置を目で見ながら,正しく認識される口の動きを人間が調整学習する仕組みが構築できた。また,十分安定した発話動作が可能になった被験者については,子音を含めた発話における計測実験を重ね,一部の子音に関しては,筋動作の時間的な差異や,筋電信号の振幅の差異などを基に,認識実験が可能になり,これらの成果を学会発表などで報告した。
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