2009 Fiscal Year Annual Research Report
体温調節機構におけるセロトニンネットワークの役割解明
Project/Area Number |
21700596
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
石渡 貴之 Rikkyo University, コミュニティ福祉学部, 助教 (40435235)
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Keywords | 体温調節 / 神経伝達物質 / セロトニン / 腹側被蓋野 / マイクロダイアリシス |
Research Abstract |
脳内の調節機構には,神経細胞を促進または抑制する神経伝達物質の働きが極めて重要である.その中でも,セロトニン(5-HT)は体温調節機構において主要な神経伝達物質であることが示唆されている.本研究では,熱放散系に関与する部位である腹側被蓋野(Ventral tegmental area; VTA)に注目し,VTAの体温調節機構における5-HTの役割を解明することを目的とした. 本年度は体温調節が活発になる暑熱暴露時及び寒冷暴露時のVTAの5-HT及びドーパミン,ノルアドレナリン放出量の経時的変化を測定し,温熱刺激による反応を検討した. 暑熱暴露によりラットの体温は約1.5℃上昇した.体温調節反応を見ると熱放散の指標である尾部皮膚温は上昇し,熱産生の指標である心拍数は減少した。このことより,暑熱暴露中には積極的な熱放散活動が行われていることが分かる.この体温調節反応が活発になっている時のVTAの5-HT及び5-HTの代謝産物である5-HIAAは,暴露開始1時間後に上昇する傾向が認められた.またドーパミンの代謝産物であるDOPACは逆に暑熱暴露開始後から減少することが観察された.ノルアドレナリンは暑熱暴露中に変化しなかった.寒冷暴露中はラットの体温は約0.8℃上昇した.尾部皮膚温は低下し,心拍数は増加した.このことより,寒冷暴露中には積極的な熱産生活動が行われていることが分かる.しかしながら,この時のVTAの5-HT,ドーパミン,ノルアドレナリンの顕著な変動は認められなかった.すなわち,暑熱暴露中のVTAの神経活動の調節には,5-HT系およびドーパミン系の両方の関与が示唆された.
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