2011 Fiscal Year Annual Research Report
「生活世界における身体知」の包括的理論モデルの創出
Project/Area Number |
21700607
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
田中 彰吾 東海大学, 総合教育センター, 准教授 (40408018)
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Keywords | 身体知 / 生活世界 / 身体性哲学 / 身体イメージ / 身体図式 / 現象学 / 生きられる空間 / 他者理解 |
Research Abstract |
本研究は、「生活世界における身体知」を理論的に整備することを目指すものである。とくに、今日の身体性哲学の主たる源流である哲学者M・メルロ=ポンティの議論に立脚して、将来の経験科学的研究の基礎となる身体知の理論モデルを創出することを目標としている。 本計画の最終年度である平成23年度は、主として以下の4つの作業を行った。 1.身体イメージに関する研究を推進した。身体図式と身体イメージの概念上の差異を明確化するとともに、ラバーハンド錯覚および離人症という具体例において、身体イメージがどのように変容し、それが自己概念にどのような影響を与えるかを考察した。(下記「雑誌論来」および「学会発表」を参照) 2.身体性と空間の関係について、現象学における「生きられる空間」の概念に沿って整理するとともに、森や海岸など、具体的な場所の経験を記述することを試みた。(下記「雑誌論文」を参照) 3.他者理解およびコミュニケーションにおける身体知の機能を探るための研究に着手した。従来の「心の理論」について批判的に検討し、他者理解における身体性の重要性を論じる発表をIHSRC(国際人間科学研究会議)にて行った。また、非言語的コミュニケーションにおける身体性の役割を解明する実験をデザインし、その予備調査の結果を報告した。(下記「学会発表」を参照) 4.本研究計画のまとめとして、「身体知embodied knowledge」の概念と意義について、英文の論文を出版した。メルロ=ポンティの「身体図式」の概念にもとづいて、身体知の具体例を記述するとともに、心身問題との関係から、身体知概念の現代的意義について論じた。(下記「図書」を参照)
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Research Products
(11 results)