2010 Fiscal Year Annual Research Report
きょうだいの差異経験と運動意欲の差に関する定性的分析
Project/Area Number |
21700609
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
堀井 大輔 大阪電気通信大学, 医療福祉工学部, 准教授 (20340424)
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Keywords | 運動意欲 / きょうだい / 環境要因 / 定性分析 |
Research Abstract |
当該年度は、運動意欲と非共有環境の関連を仮説的に導き出し、質的に分析・検討することと、研究の妥当性・信頼性を高める作業が中心であった。昨年度までに収集したデータについて、カテゴリーを概念化し、その関係性を明らかにしたうえで、現在までの心理的成長過程を検討した。 結果として、きょうだいが育つ環境は、同じ家庭であっても非常に異なっており、同じ家庭で育つことが同じ環境で育つことを意味しないことが再確認された。たとえば、きょうだいの性別が違っていれば、一方は男性のきょうだいと、他方は女性のきょうだいと一緒に育つことになり、性役割が比較的固定された社会では、男の子であるか女の子であるかによって、親の養育態度にはかなりの差が生じると考えられる。また、双生児でなければ、きょうだいに年齢差が生じ、一方は自分より年少のきょうだいと、他方は自分より年長のきょうだいと育つことになり、きょうだいの出生順位に重きをおく社会や文化では、長子であるか否かによって、親や社会の扱いも違ってくると考えられる。このように、きょうだいの育つ環境は決して同じではなく、きょうだい間で共有されない環境がきょうだいの異なった性格や特徴の形成に影響を及ぼすことは確かである。本研究でも、きょうだいが異性の場合では異なる経験に関連づけられており、年長のきょうだいか年少のきょうだいかによっても異なる経験に関連づけられていた。つまり、きょうだい関係の違いは、異なるパターンをもって運動意欲に意味付けられており、個人の運動・スポーツに対する捉え方を変化させてきたと推察された。
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