Research Abstract |
スポーツ選手が体調を崩さずにトレーニングを遂行し,また,競技会にあわせて最高のパフォーマンスを発揮できるよう,体調管理・コンディショニングに必要な『総合的体調評価システム』の構築を目的として調査を行った. まず,体調に影響を及ぼすと考えられる身体的・精神的ストレス,遠征による移動などを負荷し,簡便に測定することができる生体指標の変化を観察した.その結果,身体的・精神的疲労によって変化する生体指標が絞り込まれ,これらの指標が体調の把握に有用であると考えられた. そこで,これらの生体指標と日々の体調変化・運動パフォーマンスとの関係について,詳細な検討を加えた.その結果,大きな疲労が負荷された状態では,生体指標はパフォーマンスを予測する手段として有用であるが,日々の生活レベルでの変化ではパフォーマンスを予測しきれないこと,また,暴飲暴食や不眠などの特殊環境下では,生体指標とパフォーマンスとの関係が通常とは異なることも明らかとなった. これらの結果から,個々の生活を把握した上で,適切に複数の生体指標を総合的に利用することで,体調管理に応用できる可能性が示唆された.また,日々の生体指標測定結果より,基礎体温と塩味感受性,体重と甘味感受性の関係が認められるなど,生体環境恒常性における味覚の役割を解明できる可能性も示唆された. 日々トレーニングに励んでいるスポーツ選手の努力を無駄にしないためにも,今回の調査結果をスポーツの現場に還元するとともに,さらに精度の高い評価法の確率を目指す. これらの研究成果は,日本体力医学会,日本体育学会,日本トレーニング科学会にて発表を行った.
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