2009 Fiscal Year Annual Research Report
運動中に周辺視野の知覚能力は低下するか?(低酸素環境下での反応時間からの検証)
Project/Area Number |
21700622
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
安藤 創一 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学部, 博士研究員 (50535630)
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Keywords | 運動 / 反応時間 / 周辺視野 |
Research Abstract |
球技などのスポーツでは、"周りがよく見えている"、"視野が広い"などという表現が頻繁に用いられる。これらの言葉は、運動中に周囲の状況をいかに把握するかがスポーツにおけるパフォーマンスを決定する要因の一つであることを示唆している。これまでに、自転車エルゴメーターでの運動中に周辺視野に呈示される視覚刺激に対する単純反応時間が増加することが知られている(Ando et al. 2005, 2008)。これらの結果は運動中に周辺視野での知覚能力が低下することを示唆しているが、そのメカニズムはまだ明らかになっていない。そこで平成21年度には、運動中に周辺視野での知覚能力が低下するメカニズムを明らかにするために、通常環境下と低酸素環境下での運動中に周辺視野の反応時間を測定した。実験参加者は10名であり、周辺視野の反応時間は安静時、最高酸素摂取量の40%、60%、80%の3種類の運動強度での運動中、および運動直後に測定した。低酸素環境下の酸素濃度は16%とし、反応時間測定と併せて近赤外線分光法(near infrared spectroscopy)を用いて脳の組織酸素飽和度を計測した。高強度での運動中には周辺視野の反応時間は安静時と比較して増加した。運動中の周辺視野の反応時間は、脳の組織酸素飽和度が低下すればするほど増加した。これらの結果は、脳の組織酸素飽和度の低下が運動中の周辺視野での知覚能力の低下と関係がある可能性を示唆している。
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