2009 Fiscal Year Annual Research Report
メンタルトレーニングの効果に関する量的・質的データの検討
Project/Area Number |
21700647
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
平木 貴子 National Agency for the Advancement of Sports and Health, スポーツ科学研究部, 研究員 (00392704)
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Keywords | メンタルトレーニング / 心理的スキル / 実践研究 / 質的データ |
Research Abstract |
徳永(1988,1994,1999)は,アスリートが競技場面で必要とする精神力を「心理的競技能力」と定義し,それを測定する心理的競技能力診断検査(以下DIPCA)を開発した.DIPCAは心理的スキルを測定し,メンタルトレーニング(以下,MT)の介入方針の検討や介入成果をみる有効なツールとして広く用いられている. DIPCAを使用した実践報告を概観すると立谷(2005)や岩崎(2005)などの事例で示されているように,一部の下位尺度得点において,介入後で得点が低下する現象が見受けられる.しかし,これまで行われてきた量的変数の検討だけでは,提供したMT技法がその心理的スキル(DIPCAの尺度得点)の向上に効果がないのか,MTを通してアスリートの各心理的スキルに対する意味や価値が変容した結果,得点が低下したのか判断できない.そこで量的変数による客観的評価と併せて,アスリートの叙述を検討することは,MTによって影響を受ける心理的変数の発見や,提供したMT技法の妥当性検討に有益ではないかと考えた.本研究は,MT実施中のアスリートの心理的変化を量的(心理的競技能力診断検査の尺度得点)・質的(選手の発話)の両側面から検討する実践研究を行うこととした.MTにおける選手の心理的側面に対する影響・効果,および提供したMT技法の妥当性を検討し,アセスメントツールとしての新たな心理的競技能力診断検査の活用法を事例的に提示する. 具体的検討点としては,アスリートを対象としたMTにおける介入前後の心理的競技能力診断検査尺度得点の変化を量的・質的データ(介入中の選手の発話)を用いて「MTにおける選手の心理的側面に対する影響・効果」について3年間継続して検討を行う.平成21年においては,MT介入のための準備および,心理支援を希望するアスリートの募集および介入,複数名の心理専門家による事例の検討を随時行った.
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