2010 Fiscal Year Annual Research Report
心理力動的理解に基づくトップアスリートの心理サポート-描画法を手がかりとして-
Project/Area Number |
21700648
|
Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
武田 大輔 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学研究部, 研究員 (10375470)
|
Keywords | 心理力動 / 描画法 / トップアスリート / 心理サポート |
Research Abstract |
本研究は,アスリートに対する心理サポート実践から得られた風景構成法作品や逐語データの資料を通して,トップアスリートの心理的特性を無意識レベルから理解することを目的とした. 競技者の風景構成法作品には,臨床心理学的あるいは精神医学的視点から捉えると特異な描写(例えば,強迫的なこだわり,注意欠陥的,内面的幼さ等)が認められる作品が多かったが,アスリート特有の心理・社会的状況を加味して解釈する必要性があるため,そのための指標の選定・比較対象を整理し分析することを次年度の課題とした. また,複数の事例検討から,特に,発達課題として自立(主体性)がテーマであり,身体に関する言及(動きなどのパフォーマンスや怪我といった身体症状)から心理的変容を読み取った事例を中心に考察した.競技者の内的課題(発達課題)の現れのきっかけは,競技者としての転機を迎えた時であった.また,自身のパフォーマンスや競技生活を中心に語る過程で,特に動きの体験的イメージが,内的課題の取り組みを表現していた.一方,身体に関することでは,彼らが意識できない力動的圧力が,怪我や不測の事態に依る身体の違和感として出現した.競技者の身体に関する言及は,主体的な内的成長に関する意味と,意識できない部分(無意識)からのメッセージとしての意味があることが考察された. アスリートは競技生活やパフォーマンス(身体)を中心に語るため,彼らが体験している身体に注目し,競技心性の特異性を明らかにすることは,アスリートの心身の成熟を支える上で重要となる.
|
Research Products
(2 results)