2011 Fiscal Year Annual Research Report
心理力動的理解に基づくトップアスリートの心理サポート―描画法を手がかりとして―
Project/Area Number |
21700648
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
武田 大輔 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学研究部, 契約研究員 (10375470)
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Keywords | 心理力動 / 描画法 / トップアスリート / 心理サポート |
Research Abstract |
アスリートの心理サポートの一つであるスポーツカウンセリングは,意識レベルだけでなく無意識的なレベルにまでアスリートの理解を拡げる.それは日常のサポート経験から,アスリートは競技レベルが高くなればなるほど,自身の無意識レベルからの動きと対峙せねばならない事象をサポート実践者は目の当たりにし,彼らに対する理解の幅を深めることが求められていると実感するからである.本研究では,無意識レベルの心理的特徴を捉えることを可能とする描画法を用いて,トップアスリートの内的世界の特徴を把握すること,そしてさらに彼らの競技力向上・実力発揮に伴う内的変容要因を明らかにすることを目的とした. 以下が主な結果である.1)風景構成法(LMT)作品の特徴からアスリートの特性を記述するため分析項目の精選を行った.約160の観点を設定しLMT70作品を整理した.例えば太陽や山といったいくつかの選定項目についてアスリート特有の特徴が確認でき,彼らの競技傾倒へのエネルギーや身体との関係から考察を行った.2)複数名の心理サポートの検討から,アスリートがどのように身体(パフォーマンス)を語るかが,彼らの内的変化を捉え(例えば,部分で捉えていたものを全体で捉えることができるといった変化は,自己を客観視できるといった内的な成熟に関係するなど),またアスリートの語りそのものが彼らの成熟のきっかけあるいは触媒となっていることが確認された. 本研究は,アスリートの心性の理解を無意識レベルに拡げ理解に努めるところに独自性がある.今後は無意識の表現ともされる身体と心理的変容の関係について注目することで,アスリートの理解を深める.実際のサポート事例から得られた資料を基に臨床学的アプローチを用いる取り組みは,客観的データの平均から特徴を捉えることの限界を補償する点に置いて意義あるものである.
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Research Products
(8 results)