2011 Fiscal Year Annual Research Report
暑熱環境下での一過性血圧低下時における循環調節機能低下の日内変動特性とその予防法
Project/Area Number |
21700659
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
青木 健 日本大学, 医学部, 助教 (60332938)
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Keywords | 脳循環調節 / 起立耐性 / 人間 / サーカディアンリズム / 体温調節 / 運動 |
Research Abstract |
暑熱環境下においては、循環調節機能への負担が増大するとともに、起立耐性の低下が認められる。これまでの研究より、安静状態での特に朝においては、その傾向が顕著であること、そして、同一暑熱環境下での一過性の血圧低下に対しては、夕方は朝に比べて脳循環調節の反応性が良く、そのことが朝にみられるような起立耐性の顕著な低下を防いでいると考えられる。さらに、昨年度の研究では軽度の身体冷却は朝における顕著な起立耐性低下を予防する手段の一つとなりうる結果を得た。 しかし、実際の生活場面では安静状態よりも身体活動を行うことのほうが多いことから、本年度の研究においては、(運動や作業場面を想定して)低強度の運動により引き起こされた体温上昇時の一過性血圧低下における循環調節機能の日内変動特性について明らかにすることを目的とした。 実験として、朝と夕方の2つの異なる時間帯において、80~100ワットの中強度自転車運動を40分間負荷した後、両大腿部に巻いたカフを加圧後、急速解除することで、一過性の血圧低下を生じさせた。それらの結果、運動終了直後においては、血圧の変動が顕著に大きくなっているにも関わらず、朝および夕方ともに、脳循環自動調節能は運動開始前の状態に比べて、維持あるいは良化を示した。また、一過性の血圧低下に対しても、両時間帯ともに血圧および脳血流ともに早い回復を見せた。しかし一方で、心循環応答については、深部体温の上昇により弱化を示し、特に朝はその低下度が大きくなった。 したがって、低強度運動後においては、脳循環調節は朝の時間帯も含めて維持あるいは良化する方向にあるが、体温上昇による心循環応答の弱化がみられることから、過度の体温上昇を伴わないような軽運動(ウォームアップ)については、特に朝の時間帯に顕著となる起立耐性低下を予防する一つの手段となる可能性が示唆された。
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