2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋αアクチニン3タンパク質の加齢に伴う発現変化とその運動適応に関する研究
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21700662
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
小倉 裕司 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (90509952)
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Keywords | 運動生理学 / 骨格筋 / ラット / 筋線維組成 / αアクチニン / 運動器 |
Research Abstract |
サルコペニアは、速筋線維の加齢性の萎縮に一部起因することが示唆されており、運動はその進行速度を遅延させることが知られている。したがって、サルコペニア対策を確立するためには、速筋線維特有に発現するタンパク質の加齢動態と運動の影響およびそれらの相互関連性に着目することが有効であると思われる。骨格筋におけるαアクチニンは筋節のZ線上に位置しアクチンフィラメント同士を架橋する構造タンパク質であり、そのアイソフォームのひとつであるαアクチニン3は速筋線維にのみ発現するという特徴を持つ。本年度は、このαアクチニン3の発現に対する加齢および運動トレーニングの影響を検討した。18月齢および28ヶ月齢の雌性Fischer 344ラットを用い、それぞれに運動群と対照群を設定し(各群n=6)、運動群の動物を対象に週3~4回、60分間の持久的トレーニングを運2ヶ月間継続した。なお、若齢群および老齢群間のトレーニング強度については、我々の先行研究(Naito et al.,Med.Sci.Sports Exerc.,2000)に基づき動物の最大酸素摂取量の相対値(%Vo2peak)を持って等しくなるように調節した。右脚の骨格筋を緩衝液中で均質した後、ウェスタンブロッティング法にて、αアクチニン3を定量した。その結果、老齢群ではαアクチニン3は有意に低下していたことから、加齢による筋機能の低下にはαアクチニンの低下が関与する可能性があると考えられる。しかしながら、トレーニングによってαアクチニン3には変化が見られなかったので、少なくとも持久性トレーニングが老齢動物の骨格筋に対する好影響のメカニズムとαアクチニン3の関連は低いように思われるが、この点については、現在さらに分析をすすめているところである。
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Research Products
(2 results)