2011 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋αアクチニン3タンパク質の加齢に伴う発現変化とその運動適応に関する研究
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21700662
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
小倉 裕司 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (90509952)
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Keywords | 筋線維組成 / サルコペニア / 運動生理学 |
Research Abstract |
骨格筋におけるαアクチニンは筋節のZ線上に位置しアクチンフィラメント同士を架橋する構造タンパク質であるが、そのアイソフォームのひとつであるαアクチニン3は速筋線維にのみ発現するという特徴を有する。本研究では、このαアクチニン3のサルコペニア進行に対する役割を明らかとし、その筋機能に対する意義を加齢および運動介入との関連から解明することであった。 本研究で、18ヶ月齢および28ヶ月齢の雄Fischer 344ラットに、8週間の持久性トレーニングを負荷し、トレーニング終了後(それぞれ20ヶ月齢および30ヶ月齢)に足底筋を摘出し、αアクチニン3の発現量、ミオシン重鎖(MyHC)組成、クエン酸合成酵素(CS)活性を評価した。なお、結果は、同月齢の対照群とともに月齢×トレーニング有無による二元配置分散分析により分析したが、有意な交互作用が観察されなかったことから主効果による評価を行った。 筋湿重量は、20ヶ月齢群よりも有意に低く加齢に伴う筋萎縮が生じていた。type IIb MyHCは30ヶ月齢群で20ヶ月齢群よりも有意に低く、一方、type I MyHCは30ヶ月齢群で20ヶ月齢群よりも有意に高かった。30ヶ月齢群のαアクチニン3発現量は20ヶ月齢群よりも有意に低かった。一方、トレーニング群では非トレーニング群と比べてtype II MyHCの中でもよりslowerなアイソフォームの割合が増加していが、両者の間にαアクチニン3発現量に差は無かった。 以上より、加齢による筋の萎縮および遅筋化はαアクチニン3発現量減少を伴うことが明らかとなり、サルコペニアの因子としてαアクチニン3の変化を考慮する必要性が示唆された。その一方、持久性トレーニングはαアクチニン3を変化させなかったので、αアクチニン3への介入を目的とした運動様式には適さないことが示唆された。
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Research Products
(5 results)