2011 Fiscal Year Annual Research Report
脳機能活性と快ストレスをもたらす高齢者のための運動プログラム開発
Project/Area Number |
21700664
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Research Institution | Yokohama College of Pharmacy |
Principal Investigator |
八田 有洋 横浜薬科大学, 薬学部, 准教授 (20312837)
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Keywords | ストレス / 唾液アミラーゼ活性 / ウォーキング / 保続性の誤り / 高齢者 / 遂行機能 |
Research Abstract |
運動はストレッサーの一つとして考えられるが,運動によるストレスを評価する指標や脳機能との関連性については明らかにされていない.そこで本年度は,一過性の有酸素運動が心身のストレスに及ぼす影響と脳機能との関連性について検討した. 被験者は健康な高齢者20名(平均年齢:69.75±3.4歳)であり,研究の目的と趣旨を説明して参加の同意を得た.運動の内容はウォーキングとし,自分の体力や体調に合わせて無理のないペースで歩くよう指示された.運動中の心拍数は心拍計(RS100,ポラール)を用いて測定した.運動前後のストレス評価については,生理的・客観的指標として唾液アミラーゼ活性を唾液アミラーゼモニタ(ニプロ)を用いて非侵襲的に測定し,心理的・主観的指標については感情プロフィール検査(POMS短縮版)を実施した.運動前後の脳機能評価については,前頭葉機能検査のウィスコンシンカードソーティングテスト(WCST)を実施した. 運動中の心拍数は101.0±11.1拍/分であった.運動後にPOMSの緊張-不安,怒り-敵意,混乱のスコアが運動前と比較して有意な改善を示した.また,運動後に唾液アミラーゼ活性が低下した群では,運動後のWCSTの総誤反応数が有意に減少した(p<0.01).さらに,運動後に唾液アミラーゼ活性が上昇した群では,唾液アミラーゼ活性とWCSTの「保続性の誤り」の数との間に有意な正の相関関係が認められ(r=0.609,p<0.05),唾液アミラーゼ活性が上昇するにつれて自分の考えに固執する傾向が示された.したがって,ウォーキングには高齢者の主観的な感情を改善する効果が認められるが,唾液アミラーゼ活性が著しく上昇する運動強度では,高齢者の前頭葉機能,特に遂行機能が低下することが示唆された.
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Research Products
(2 results)