2009 Fiscal Year Annual Research Report
発育期選手の投球障害予防を目的とした投球動作ストラテジーの関節運動学的分析
Project/Area Number |
21700665
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
宮下 浩二 Chubu University, 生命健康科学研究所, 准教授 (40403604)
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Keywords | 野球選手 / 成長期 / 投球動作 / 投球障害 / 障害予防 / ストラテジー / 関節運動 / 三次元動作解析 |
Research Abstract |
投球動作は全身の関節の連動で構成されている。特に成長期の野球選手は、関節の連動が非効率的になり、投球動作に問題を生じて投球障害が発生することが少なくない。投球障害肩の予防やリハビリテーションでは、投球動作の改善と関節機能の向上が主要な対応策となる。成長期と成人期の野球選手の比較として、関節機能に関するものは多数あるが、投球時の関節運動を分析したものは少ない。本研究では、成長期野球選手の投球動作の特徴を知ることを目的として、投球時の肩関節角度の変化について成人期野球選手と比較した。対象は中学野球選手15名(年齢13.7±0.8歳、野球歴6.6±1.4年)とした(以下、中学生)。またコントロール群を大学野球選手15名(年齢22.1±1.5歳、野球歴9.5±2.9年)とした(以下、大学生)。ポジションの内訳は両群とも投手3名、捕手1名、内野手7名、外野手4名とした。投球時のステップ脚の足部接地時からリリースまでの位相を100%に規格化し、関節角度変化の平均を算出した。肩外旋角度(前腕と体幹のなす肩全体の角度)、肩甲上腕関節外旋角度および肩甲骨後傾角度の最大値を算出し、両群間で比較した。肩外旋角度の最大値は、中学生141±15°、大学生144±11°であった。肩甲上腕関節外旋角度の最大値は中学生109±15°、大学生107±15°であり、肩甲骨後傾角度の最大値は中学生31±14°、大学生29±14°だった。投球時の肩関節最大値は、中学生と大学生とでほぼ同様の値であり、成長期でも投球時の関節運動範囲が成人期と同様であることが示された。このことは、投球で要する関節可動域は、成長期と成人期にも差がないことも示している。今後は股関節、体幹運動を比較し、成長期野球選手の動作ストラテジーの特徴を明確にしていく予定である。
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