2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21700669
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
吉田 朋美 群馬大学, 医学部, 助教 (00312893)
|
Keywords | Human Papillomavirus(HPV) / 子宮がん検診 / ピア・エデュケーション / 自己採取法 / 液状化細胞検体 / リニアアレイ法 |
Research Abstract |
世界的な流れに続き、わが国でも昨年10月にHPVワクチンが認可された。しかし現在までの調査で明らかとなっているのは、接種開始年齢である10歳代、20歳代の接種率が低いこと、費用的問題と倫理的問題が大きいことなど、ワクチン接種により"子宮がんゼロ"を実現するまでは、解決すべき事項が多いのが現状である。従来の検診システムは、婦人科あるいは検診会場に出かけて受診する必要があり、時間的、精神的負担が障害となっており、また若年者の羞恥心への配慮もなされていない。現在まで我々は、若年層を対象とした啓蒙手法として、ピア・エデュケーション手法を用い、若年者のヒトパピローマウィルス(HPV)への意識向上に成果を上げている。また県内婦人科医の協力を得て、成人女性に自己採取法にて細胞を依頼し、リニアアレイ法(PCRを基本としたHPV亜型判定法)でHPV感染を解析した結果、78%でHPV陽性であり、年代別の内訳は20歳代:34.7%、30代:34.7%、40代:23.6%、50代:2.8%、60代:1.4%、70代:2.8%であった。これらのデータをもとに「自己採取法を用いた子宮頚癌検診の普及および精度向上」を目指した臨床研究を行い、自己採取によるHPV検診が有用であることを報告した(Acta Cytologica 2011;55;106-112)。このように、我々の研究は、性教育分野、癌検診と形態学的診断、分子生物学的なHPVの解析と多岐にわたる研究手法を用いた有機的な検索を行うものであり、国内に質の高い検診精度を取り入れ、その質と精度を担保するためには、このような基礎データの蓄積が必要不可欠であると思われる。
|