2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21700672
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
豊沢 純子 大阪教育大学, 学校危機メンタルサポートセンター, 講師 (90510024)
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Keywords | 防災 / 教育系心理学 |
Research Abstract |
本年度は、これまでの研究成果を踏まえて投稿した論文の査読結果を踏まえ、数度の改稿作業を行い、最終的に受理された(教育心理学研究,58,480-490)。また新たに行った災害イメージ研究の成果を、国内外の学会(Society for personality and social psychology,日本リスク学会)で発表し、そこでのディスカッションを踏まえて、紀要論文を作成した(学校危機とメンタルケア,3,12-20)。2つの論文で示された重要な知見は、以下の2点にまとめることができる。第一に、防災行動の促進を考える上では、他者との相互作用を考慮する必要があるという点である。特に小学生を対象とした防災行動の促進を考える上では、学校での教育に加えて、保護者との関係性を考慮することの重要性が示された。そして第二に、防災対策に関する自己効力感に働きかけていくことが重要という点である。防災行動には、比較的実施が容易な行動から、実施の困難な行動まで幅がある。実施が困難な行動を考える上では、「自らの力で対策が取れる」という認知的な感覚(自己効力感)を高くしていくような働きかけが重要であることが示された。 また昨年度は、小学校高学年で行われている安全教育の授業の分析を行ったが、本年度は、低学年と中学年の授業を分析し、授業での活用が有効な教材のあり方についても検討を行った。その結果、低学年では、基礎的な知識を繰り返し学習することが効果的であるが、中学年や高学年では、正解がひとつに定まらないような問題について他者との意見交換を行うことが効果的である可能性が伺えた。また、いずれの発達段階においても、一度に多くの知識を学習するよりも、基礎的な事項を繰り返し、深めていくことが、実際の教育場面への適合がよいように思われた。 以上の知見や観察に基づき、最終年度では、具体的な防災教育教材を開発し、公開する予定である。
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