2010 Fiscal Year Annual Research Report
音楽を用いて病院の環境騒音をアクティブコントロールする効果に関した研究
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21700676
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
中島 淑恵 順天堂大学, 医療看護学部, 助教 (90459131)
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Keywords | 病院音環境 / 騒音 / 音楽聴取 / アクティブノイズコントロール / 周波数特性 / 音高 / 自律神経系活動 / 唾液コルチゾール |
Research Abstract |
本研究の目的は、病院特有の環境騒音を把握したうえで、ノイズコントロールが可能な音楽について検討することである。医療における音環境の中で、周波数特性を持つ音楽の提示で聴覚の選択的注意行動が誘発されるか、それが様々な騒音に対する不快を軽減することができるかを明らかにすることをエンドポイントとして研究を進めた。今年度は周波数特性を持つ音楽が心身にどのような影響を与えるか把握するために実験を行った。心電図の周波数解析にMemCalc/TARAWAを用いて自律神経系活動を評価し、唾液コルチゾールの分泌濃度を計測し交感神経活動を合わせて評価した。気分に与える影響についてはPOMSを用いて評価を行った。実験にはクラシック音楽を用い、原曲と3500Hz前後の高周波帯域を増幅加工した音楽、20Hz前後の低周波帯域を増幅加工した音楽、以上の3コンディションにおける比較検討を行った。 自律神経系活動の調査では、心電図の解析から3つのコンディションで音楽聴取のpreよりpostにおいて副交感神経活動指標が低下したが、高周波増幅曲において有意に低下した。唾液コルチゾールは高周波増幅曲で最も分泌量が減少する傾向にあった。POMSの調査では、音楽聴取のpreとpostで有意な変化はなかった。 2年の研究期間で病院各所の音環境分析までは実施できなかった。今後は、本年度購入した騒音計を用いて騒音の現状を把握し、今回得られた結果と合わせSPSSを用いて多角的に分析する。騒音環境をアクティブコントロールするには工学的装置が必要であり、騒音をノイズコントロールすることが可能な高性能のヘッドフォンもある。そこで聴覚刺激による選択的注意行動の誘発が騒音不快を軽減するかに着目し、その場合の音楽提示方法に関する研究を進める。聴覚刺激だけでなく、Adobeの映像加工ソフトを用いた視覚刺激課題も取り入れ、感覚認知と注意行動の関係について音楽を用いて調査していきたいと考える。
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