2010 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠中の飲酒予防のためのテーラーメイドなリーフレットの利用度と教育効果
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21700682
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
須藤 紀子 国立保健医療科学院, 生涯保健部, 主任研究官 (40280755)
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Keywords | 妊婦 / 飲酒 / リーフレット / 保健センター / グループインタビュー / アルコール教育 / 精緻化見込みモデル / 質的研究 |
Research Abstract |
質的研究手法を用いて、対象者の意見を反映させた妊娠中の飲酒予防リーフレットを作成することを目的とした。市町村保健センターが開催する母親学級参加者と大手調査会社のモニターを対象に、半構造化グループインタビューを4回実施し、計33名の初妊婦が参加した。25-29歳が51%、30-34歳が42%を占めた。二つ折のドラフトリーフレットに対するフィードバックに基づき、4回改訂をおこない、グループインタビュー中の挙手や評価票の記入により、量的な評価もおこなった。 表紙は、妊婦が手に取り、開いてみようと思うよう、視覚的な魅力が必要であるが、見開きに載せる情報は科学的に説得力のあるものが好まれた。妊婦は、飲酒の影響について関心をもち、学ぶ意欲があるため、視覚的に惹き付けようとして、カラフルにし過ぎたり、イラストなどのオブジェクトを多く入れすぎると、ごちゃごちゃした印象を受け、内容に集中できない、情報の重要性が薄まってしまうと不評であった。また、イラストはさまざまな媒体で見飽きており、写真やグラフなどリアルな情報に対する評価が高かった。精緻化見込みモデルで示されるように、対象者がトピックに興味があり、学ぶ素地がある場合は、媒体の見かけではなく、内容を重視する傾向がみられた。イラストや色はふんだんに用いると視覚的アピールは増すと思われるが、そのようなアプローチは周辺的な要素を重視する周辺的ルート処理の場合に有効であり、今回の対象者のような情報の内容を重視する中心的ルート処理の場合には、エビデンスを整然と提示する方法が支持された。文字は大きければ大きいほど見やすく、色彩やイラストは多ければ多いほど喜ばれるなどの思い込みにしたがって媒体を作成する場合が多いが、対象者の特性によって受け入れられやすい教材のあり方は異なるため、作成にあたっては対象者のフィードバックやプレテストが必須である。
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