Research Abstract |
長期間(2ヶ月間)にわたる日常生活中の被験者15名の心拍変動,気分変動,生活活動度(身体加速度)変動を同時に連続計測する実験を行った.各被験者に対して,本実験の目的や解説を行った上で,同意書(インフォームドコンセント)を実験参加前にあらかじめ得た.本研究で行う被験者実験は,外部委員を含む産業技術総合研究所人間工学実験倫理委員会の承認のもと行った.被験者は心拍変動と生活活動度(身体加速度)変動を計測する携帯型装置を装着した状態で2ヶ月間通常通りの日常生活を行った.その間,睡眠時を含めて常時装置を装着した.ただし,入浴時のみ装置を取り外した.被験者は,1時間に1回(睡眠時を除く),その時の緊張感,不安感,幸福感,活気,疲労感,落ち込み感,怒り,混乱の8種類の気分状態を10cmのVisual Analog Scale(VAS)上に線を入れて回答した.回答結果を集計することにより,8種類の気分状態をそれぞれ数値化した.これに加えて,日常の基本活動動作(歩行,入浴,食事等)を記録した.さらに,起床時に睡眠充足度を10cmのVAS上に線を入れて回答した.睡眠充足度についても上記と同様に数値化した.これらの他に,被験者は印象的な事象(非常に嬉しかったこと,悲しかったこと,怒ったこと等)が起きれば,その内容と発生時刻をメモ帳に記入した.計測した心拍変動データに対して,パソコンと数値解析ソフトウエアを用いて数値解析を行い,自律神経系活動や呼吸系活動に関連する心拍変動指標の値を算出した.次年度(平成22年度)は,これらのデータを基にして,各個人に適合化した心拍変動を用いた気分状態評価手法を構築する.
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