2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21700684
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Research Institution | Physical Fitness Research Institute |
Principal Investigator |
泉水 宏臣 (財)明治安田厚生事業団体力医学研究所, 研究員 (30450753)
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Keywords | 運動療法 / 精神疾患 / 統合失調症 / うつ病 / メンタルヘルス / 精神的健康 |
Research Abstract |
運動がメンタルヘルスを改善することは知られてきたが、精神疾患の治療においては、薬物療法ほどの重要性は認識されていない。近年、うつ病の治療に運動が効果的であることが明らかにされつつあるものの、統合失調症や双極性障害においては、エビデンスが不十分であることが指摘されている。そこで本研究では、精神科の治療における運動療法の有効性を明らかにするため、様々な精神疾患患者において、運動実施が精神科症状に及ぼす影響を検討した。 22年度は、精神疾患患者の通うデイケア施設において、運動の長期的効果を検討した。6ヶ月間の介入期間前後で、精神科デイケアにおけるの運動プログラムに定期的に参加した患者(運動群:17名)とそうでない患者(非運動群15名)の精神的健康度を比較した。測定項目は、精神科症状(K10)、自己受容度(自己受容測定尺度)、自己効力感(特性的自己効力感測定尺度)であった。その結果、運動群の精神科症状と自己効力感が非参加者と比較して有意に改善した。また、統合失調症患者にかぎって同様の検討(運動群13名、非運動群12名)を行った結果、運動群の自己効力感が非運動群と比較して有意に改善した。 本研究の結果から、定期的にデイケアの運動プログラムに参加した患者は、精神科症状の軽減や自己効力感の増加が認められることが示された。対象者を統合失調症患者に限っても、運動プログラム参加者の自己効力感増加が示された。よって、精神科デイケア施設において運動プログラムを提供することは、統合失調症などの精神疾患患者のメンタルヘルス改善に効果的であることが示唆された。
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