2011 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の転倒回避に有効な代償的ステップ動作の評価とエクササイズプログラムの開発
Project/Area Number |
21700689
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
山次 俊介 福井大学, 医学部, 准教授 (40311021)
|
Keywords | 老化 / 転倒 / 代償的ステップ |
Research Abstract |
高齢者の転倒予防プログラムは、主に転倒リスクに関連する身体的機能(下肢筋力、バランス能力など)の向上を目的としている。しかし、転倒を回避する動作、すなわち外乱に対してバランスを崩したときに支持基底面を拡大させる代償的ステップ動作に関する評価方法、エクササイズは提案されていない。高齢者の転倒、特に側方、後方への転倒は大腿骨頸部骨折や脊椎圧迫骨折など移動能力を著しく損なう障害に発展するケースが多い。高齢者はステッピング反応性が鈍化するだけではなく、適切にステップできないために脚がもつれたり、引っかかったりして転倒を回避できない。本研究では高齢者の前後左右方向の代償的ステップ動作特性を明らかにし、転倒回避に有効な代償的ステップの評価、および改善エクササイズの提案を目的とした。 これまでの研究成果から、適切な代償的ステップ動作には、これまでの筋力、バランス、歩行能力に加え、敏捷的な応答、側方への外乱に対するクロスオーバステップ、外乱応答時に体幹を支持基底面側に引き戻す体幹筋力が重要であることが示唆された。これらを考慮したラバーバンドエクササイズとラダーエクササイズを組み合わせた代償的ステッピング向上エクササイズを考案し、その効果を5ヶ月間の介入研究より検証した。その結果、介入群は統制群(教育講座受講群)に比べ、筋力、バランス、歩行とも改善傾向にあったが、とりわけ、敏捷的なクロスステップ動作が含まれる敏捷性ステップテストにおいて著しい改善傾向が認められた。介入群のADLおよび転倒恐怖感においても有意な改善が認められ、日常生活における身体的自己効力感も高まることが示唆された。
|