2009 Fiscal Year Annual Research Report
代謝異常疾患における脂溶性リガンドの作用機序の解明
Project/Area Number |
21700692
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
足達 哲也 Kyoto Prefectural University of Medicine, 大学院・医学研究科, 助教 (60345014)
|
Keywords | 脂溶性リガンド / G-タンパク共役型受容体 / 心筋細胞 |
Research Abstract |
メタボリックシンドローム患者の急増が問題視されてきており、メタボリックシンドロームの増悪には、脂肪組織、骨格筋細胞、肝臓および心臓などの臓器の代謝異常による、トータルボディでの代謝のアンバランスが関与するとされている。上述の代謝調節には多くの受容体からのシグナル伝達が考えられることから、これらの臓器に発現する受容体の同定、その受容体のリガンド探索およびその受容体の機能と代謝機構との関連性を明らかすることを目的としている。当該年度において、脂溶性物質をリガンドとする受容体の実際の発現についてリアルタイムPCRを用いて解析を行った。その結果、GPR30の発現が脂肪細胞に加え、骨格筋および心臓において認められた。一方で、GPR40およびGPR120の発現は骨格筋、肝臓および心臓において検出感度以下であった。心臓において、単離心筋初代培養細胞にGPR30のリガンドであるエストロゲン(1μM)刺激を行った結果、下流のシグナル伝達のERKのリン酸化の亢進が認められた。本研究によって、心臓においてエストロゲンがGPR30を介して、ERKリン酸化を活性化し、シグナル伝達からnon-genomic作用をもつことが明らかとなった。その他の受容体の発現について、脂肪細胞、骨格筋細胞および心臓において解析を進めるとともに、糖尿病など代謝異常疾患において、発現が認められた受容体の機能性について、細胞レベルおよび動物レベルにて、引き続き検討を進める。
|