2010 Fiscal Year Annual Research Report
ポータブル筋量計測装置を用いた高齢者の下肢筋量の検討
Project/Area Number |
21700694
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村木 里志 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (70300473)
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Keywords | 高齢者 / 介護予防 / 筋量 / 超音波 / 生活動作 |
Research Abstract |
高齢者にとって下肢の筋力は自立度を維持するために重要である。その高齢者の筋力を安全に評価するためには、筋力との相関が高い筋量(筋横断面積)が有効と考えられる。そのような背景から、高齢者の標準的な大腿部筋量や基本生活動作に必要な大腿部筋量を検討することを目的とし、要支援・要介護者を含む約600名(内、250名は平成21年度)の計測から下記の事項の成果を挙げた。 1.大腿部筋量(筋横断面積)の標準値の作成 支援・介護を必要としない10歳代から80歳代の男女を対象に、身長、体重、大腿部周囲径の計測および大腿部の筋横断面積(筋面積)測定を実施した。筋面積の測定位置は右大腿部の転子点から50%とし、測定には平成21年度に改良したポータブル超音波筋量計測装置を使用した。筋面積は体型の影響を取り除くために身長と体重による補正を行った。さらに男女別に年齢と筋面積やその補正値の散布図を取り、散布図から得た近似曲線を標準値の算出に用いる式とした。標準値は男女とも加齢に伴い減少し、特に女性は50歳以降の減少が大きくなった。 2.生活基本動作と下肢筋量との関係の検討 要支援・介護高齢者を含む中高齢者を対象に、大腿部筋面積と生活基本動作(階段昇降、走行、歩行、起立動作など)の遂行レベルや要介護レベルなどとの関係を検討した。要支援および要介護者の大腿部筋面積は自立者と比べ低下していた。また自立している中高齢者であっても階段昇降および起立動作の遂行レベルが低い者は大腿部筋横断面積が低下し、特に伸筋群の面積が低下していた。 3.上記成果を用いた介護予防への取り組み 開発したポータブル超音波筋量計測装置ならびに上述したような筋量の評価指標を用いて、地域住民や介護施設において筋量測定会を実施した。当測定会が介護予防への意識向上、生活習慣改善の動機づけになっていることがアンケート調査等から確認できた。
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