2010 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の動的姿勢制御機能向上を目指した「転倒防止装置」開発に関する研究
Project/Area Number |
21700708
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
野村 国彦 大阪経済大学, 経営情報学部, 准教授 (80440957)
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Keywords | 立位制御 / 静止立位 / 動的姿勢制御 / 高齢者 / 転倒防止 / 電気刺激 / 比例微分制御 / 間欠的神経制御モデル |
Research Abstract |
本研究は、高齢者の転倒を未然に防ぐことを目指した「転倒防止装置」の開発の可能性を探ることが目的であった。 1.干渉波電流刺激を用いた「転倒防止装置」の開発 本研究では、転倒防止装置に応用する機構として干渉波電流刺激を採用した。この刺激手法は、深部に刺激効果を与えることが可能である。前年度、両膝に干渉波電流を通電できるシステムを構築した。さらに今年度に小型化を目指した。本刺激手法では連続的な信号発生を必要とするため消費電力が多くなる。そのため電池駆動での長時間使用は困難であったが、出力間を絶縁処理する回路を構築することで、PCからのUSB電源供給により駆動可能なシステムを構築した。このことにより、どこでも実験調査が可能となった。 2.姿勢制御特性の定量化開発状況 動的姿勢制御特性として、前後方向の重心位置の変動を前方のモニタにリアルタイムで提示しながら、その重心位置を可能な限り変動させない条件および周期的に変動する目標位置に重心位置を追従させる条件での前後方向の重心動揺時系列のパワースペクトル密度(PSD)の両対数表示における傾きを評価した。結果として、条件間で違いが出ることが明確になった。この違いを説明するために、広く受け入れられている比例微分制御モデルと間欠的に比例微分制御のON/OFFを行う間欠的神経制御モデルで近似した。この解析から、若年健常者の静止立位は、間欠的神経制御モデルでの近似がより適していることを示した。さらに、開発した刺激装置を用いて高齢者の膝関節に干渉波電流刺激を感覚閾値よりも低い強度で印加した際、前後方向の重心動揺時系列のPSDの傾きが若年健常者に近い形状になった。これらのことから、「転倒防止装置」として干渉波電流刺激手法が有用であり、今後さらなる開発の可能性が示唆される結果となった。
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