2009 Fiscal Year Annual Research Report
コエンザイムQ10によるインスリン分泌システムの調節機構
Project/Area Number |
21700709
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
奥野 正顕 Kobe Gakuin University, 薬学部, 助教 (40359790)
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Keywords | コエンザイムQ_<10> / 糖尿病 / インスリン分泌 / 酸化ストレス / 膵β細胞 / アポトーシス / 抗酸化作用 / ATP |
Research Abstract |
膵β細胞が血糖値の上昇を感知すると、グルコースは細胞内に取り込まれ代謝されることによってATP/ADP濃度比は増加する。これが引き金となりインスリンが分泌され、血糖値は正常の範囲に保たれる。また、膵β細胞は抗酸化系酵素の発現がきわめて弱いことから、酸化ストレスを受けやすい。コエンザイムQ_<10>(CoQ_<10>)はATP産生賦活作用と抗酸化作用という二つの生理作用を有する唯一の生体内物質である。それぞれ、膵β細胞の機能発現と機能維持に重要な役割を果たすと推定される。そこで、この仮説を証明するため、CoQ_<10>のインスリン分泌システムにおける役割を明らかにする。 本年度は膵β細胞に酸化ストレスを与えることによって生じる細胞障害をCoQ_<10>が抑制することができるのかどうか検討した。その一例を挙げると、ラット由来膵β細胞株RIN5F細胞に過酸化水素を添加すると、その次の日には多数の細胞が培養皿から剥離し、細胞の形態は著しく変化したが、過酸化水素を添加する前日からCoQ_<10>を細胞に添加すると、これらの細胞障害は著名に抑制された。一方、ストレプトゾトシンにより膵β細胞を部分的に破壊した1型糖尿病ラットの膵臓でCoQ_<10>含量は低下したが、糖尿病状態を改善させるとCoQ_<10>含量は正常レベル近くまで回復した。以上の結果は、膵β細胞障害ならびに糖尿病の発症に対してCoQ_10が抑制的な役割を果たす可能性があることを示唆しており、現在、その作用機序について検討中である。
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Research Products
(4 results)