2010 Fiscal Year Annual Research Report
男性骨粗鬆症に対する大豆イソフラボン代謝産物の作用とその作用機序の解明
Project/Area Number |
21700712
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Research Institution | National Institute of Health and Nutrition |
Principal Investigator |
東泉 裕子 独立行政法人国立健康・栄養研究所, 食品保健機能プログラム, 流動研究員 (20360092)
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Keywords | 大豆イソフラボン / 骨粗鬆症 / エクオール / 大豆イソフラボン代謝産物 / 破骨細胞 / 骨芽細胞 / RAW264 / アポトーシス |
Research Abstract |
我が国における骨粗鬆症患者数のうち、およそ1/4~1/5が男性であり、その予防は重要な課題である。一方、大豆イソフラボンは弱いエストロゲン様作用を持つことで、閉経後の骨量減少を抑えることが示されている。近年はダイゼイン(Dz)の代謝産物であるエクオール(EQ)が、他のイソフラボンより強いエストロゲン様活性をもつことが報告されている。他方、初老の男性において骨吸収を調節する最も重要なホルモンはエストロゲンであることが示唆されている。我々は昨年度、雄性骨粗鬆症モデルマウスにおいて、EQの投与は脛骨の骨量減少、および骨吸収マーカーを抑制したことを報告した。そこで、本年度は男性骨粗鬆症に対する大豆イソフラボン代謝産物の作用機序を解明することを目的に行った。 マウスマクロファージ由来RAW264細胞は破骨細胞に分化誘導するため、播種24時間後にRANKLを添加し、同時にDz、またはEQを添加した。分化誘導3日後にTRAP染色を行い、破骨細胞数を測定した。RAW264細胞を成熟破骨細胞に分化させた後、DzまたはEQを添加し、アポトーシスの指標であるカスパーゼ3/7活性を測定した。一方、骨芽細胞分化へのEQの影響を検討するため、マウス骨髄由来間葉系幹細胞ST2細胞にDz、EQを添加して培養した後、アルカリフォスファターゼ染色を行った。 DzおよびEQはRAW264細胞から破骨細胞への分化を容量依存的(0.1~50μM)に抑制した。また、成熟破骨細胞へDz、EQを添加した12時間、24間後にDzおよびEQはカスパーゼ3/7活性を促進した。一方、ST2細胞から骨芽細胞への分化に対して、DzまたはEQの顕著な影響は認められなかった。これらの結果より、DzおよびEQは破骨細胞生成を抑制し、少なくとも一部は成熟破骨細胞のアポトーシスを促進することで、骨量減少を抑制している可能性が示された。
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