2010 Fiscal Year Annual Research Report
母乳育児推進にむけた授乳状況評価のための母子観察指標の確立
Project/Area Number |
21700718
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
廣瀬 潤子 滋賀県立大学, 人間文化学部, 助教 (40381917)
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Keywords | 母乳 / 授乳 / 育児支援 / 観察 / 視線追尾システム / 乳児 / 乳幼児健診 / アンケート |
Research Abstract |
【目的】妊娠中の母親の96%が我が子を母乳で育てたいと望んでいるにもかかわらず、我が国の生後一カ月時点での母乳栄養率は約45%と諸外国と比較して低値である。一方、WHO/UNICEFより認定を受けた赤ちゃんに優しい病院(BFH)で母乳栄養指導をうけた場合の同時期の母乳栄養率は75~90%と高い。また、我々のこれまでの研究で乳幼児健診を行っている施設でも多くの場合、指導に関して共通の認識が明らかになっている。したがって、母乳栄養指導を効果的に実施している施設の指導状況を明らかにし、それらをもとに広く利用可能な母乳栄養指導時の観察ポイントを提案することを目的に本研究を行った。 【結果・考察】BFH認定病院勤務看護師・助産師18名に母乳栄養指導時の観察ポイントについてアンケート調査を行い、既に発表した保健所勤務保健師との比較を行った。BFH群ではUNICEF/WHOから示されているガイドや独自の資料をもとに母乳栄養指導を行っていた。アンケート返送時に使用しているカルテ等を郵送してもらったところ、母親への質問事項には食事状況に関する事項、サプリメントや健康食品の摂取に関して質問している助産院があった。保健所群では「授乳・離乳の支援ガイド」が主な参考資料であった。授乳状況の判断項目に関しては、両群に大きな判断の差はなかったが、実際に観察している項目は保健所群ではほとんどなく、BFH群では児の顔・全身の動き、母親の感覚等幅広い項目を観察していた。さらに、母乳育児を専門に行っている助産師4名が授乳中の母児のどこを観察しているのかを視線追尾システム(アイマークレコーダー)で観察したところ、視線が1点に集中するのではなく、児の口元・喉元を中心に、児の体(体勢)を幅広く観察されていることが明らかとなった。BFH群のアンケートで示された観察項目と一致する結果であった。
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