2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21700722
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
村瀬 敬子 Bukkyo University, 社会学部, 講師 (20312134)
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Keywords | 家事の科学化 / 社会教育 / 女性 / 家政学 |
Research Abstract |
本研究は、戦間期に女性を対象とした社会教育が隆盛したことに着目し、家事科学に関する社会教育において家政学者や女子教育機関が果たした役割とともに、社会教育を目的とした産業団体等とどのようなかかわり持ったのかを明らかにすることを目的としている。 近年、第二次世界大戦以前の女子教育の形成過程を問う研究が多く出されているが、その多くは、女子教育そのものや女学生を対象とし、その思想、制度、文化、個別の教育活動等を解明することに主眼が置かれており、女子教育機関や家政学者による社会教育活動に焦点をあわせたものは少ない。 またその際、女子教育機関や家政学者が、産業団体等と行ってきた連携についてはほとんど明らかになっていない。しかし家政学が社会に閉じた学究活動というよりも、社会状況の影響を強く受けながら、生活(消費領域)の科学化を推進してきたという経緯を考えると、その活動を社会や産業等とのかかわりでとらえ直すことが必要であるといえよう。 こうした目的と背景のもと、平成21年度は、(1)1910年代末以降に政府が主催した女子の社会教育を目的とした展覧会に関する資料を収集し、それらの展覧会と、家政学者や女子教育機関、企業や産業団体等とのかかわりを分析した。また、(2)食分野にかかわる家政学的な知の社会的な浸透に注目し、家庭の台所空間に付与された意味の変容と、家事への科学的なまなざし、台所の生活財等の商品化が、どのようにかかわりながら婦人雑誌で表象されていったのかを論文にまとめた。さらに、(3)放送の社会教育的な側面に注目して、女子の社会教育を目的として放送された番組のうち、食分野における放送内容を分析し、そこで放送された知と家政学者や女子教育機関のかかわりを明らかにした。
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