2009 Fiscal Year Annual Research Report
エコロジカル・システムズ理論に基づく子育て環境と子育て意識の研究
Project/Area Number |
21700723
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Research Institution | Osaka University of Commerce |
Principal Investigator |
佐々木 尚之 Osaka University of Commerce, JGSS研究センター, 研究員 (30534953)
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Keywords | 子育て / 養育態度 / 子育て支援 / 地域社会 / 家族 / ネットワーク / ワーク・ライフ・バランス |
Research Abstract |
本研究は、エコロジカル・システムズ理論を手がかりに、各地域における子育て支援活動や所得水準などの地区レベルの特性が、子育てに対する個人レベルの意識とどう関連するのかを考察し、介入の可能性を検討する挑戦的な試みである。 研究初年度である平成21年度には、子育て意識に関連する環境的特性のうち、とくに何に注目すべきであるのかを探索する作業に着手した。子育て支援事業を行なっている保育園、児童館、小学校、高齢者福祉施設などの民間・公的機関を視察し、専門家や利用者の聞き取り調査から「多世代交流」「ネットワーク」「ワーク・ライフ・バランス」「父親」の共通するキーワードが浮かび上がった。また、子育てに対する各自治体の取り組み体制に大きな開きがあることも明らかになった。 研究代表者が専属研究員として実施した日本版総合的社会調査(JGSS)データに基づく予備分析からは、子育て規範の強化と多様化が同時に起こっており、結果的に、今日の育児期の家族に厳しいまなざしが向けられていることが示唆された。とくに、子どもをもたない30代が社会の子育て環境の悪化を感じており、子どもを持つことは「リスク」であるという認識につながることで、少子化の遠因となっている可能性が明らかになった。 さらに、現在の子育て支援策は、乳幼児期の子どもをもつ家族を主に念頭に置いているが、子育ての悩みの内容の考察からは、学童期の子どもをもつ親を対象にした友人ネットワーク構築の支援の必要性や、子ども手当が支給されない高校生以上の子どもをもつ家庭に対する経済的支援の重要性を示した。
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