2009 Fiscal Year Annual Research Report
快適な大人用紙オムツ作製のための空隙量予測シミュレーション
Project/Area Number |
21700729
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
堀場 洋輔 Shinshu University, 繊維学部, 助教 (00345761)
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Keywords | オムツ / 空隙量 / シミュレーション / 快適性 |
Research Abstract |
紙オムツと皮膚の間に形成される空隙分布は,オムツの機能性・快適性を左右する重要な因子の1つである.しかしながら,空隙分布を定量的に計測することは容易ではなく,計測方法は未だ確立されていない.このような背景から,計算機シミュレーションによるオムツと皮膚の間の空隙分布の予測を目的として研究を実施する.21年度は静的な状態におけるオムツ内の空隙分布を有限要素法により予測を行なった. 一般に使い捨て紙オムツの構造は(1)表面材,(2)吸収材,(3)防水材によって構成されており,さらに表面材には装着状態を保持するための糸ゴムが腰周りと足周りに複数本接着されている.本研究ではオムツモデルを簡略化するために,表面材を構成する不織布と糸ゴムのみでオムツを表現し,吸収材に関しては表面材における対応する部分に仮想的に厚みを持たせることで定義する.一方,人体モデルに関しては立位姿勢における静的解析を行なうために,下半身形状を非接触式3次元計測装置で取得し,形状変化のない剛体として表現する. CAE解析ではLS-DYNA ver.970を用い,オムツ及び人体をメッシュピッチ2mmで有限要素化し,人体及びオムツを構成する不織布をシェル要素(板厚1mm),糸ゴムについてはスプリング要素として定義した. シミュレーションでは人体モデルを覆うようにオムツを配置し,オムツの糸ゴムに対応するスプリング要素に初期歪みを与え,その復元力を入力荷重とした.拘束条件は人体に対応する剛体要素を全自由度拘束とした。なお,スプリング要素に与えた初期歪みは,実際にオムツを装着した際の糸ゴムの歪みを基に定義しており,およそ10~60%である. シミュレーションの結果,糸ゴムが密に配置されている腰周りにおいて,ゴムの張力によりオムツが人体に密着していることが確認された.また,股間部分においては最大30mm程度の空隙が形成されていることが確認された.
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