2010 Fiscal Year Annual Research Report
快適な大人用紙オムツ作製のための空隙量予測シミュレーション
Project/Area Number |
21700729
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
堀場 洋輔 信州大学, 繊維学部, 助教 (00345761)
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Keywords | 紙オムツ / 空隙量 / シミュレーション / 快適性 |
Research Abstract |
本研究課題においては快適な大人用紙オムツを作製するために,紙オムツと皮膚の間に形成される空隙分布を計算機シミュレーションにより予測することを目的としており,昨年度は静的な状態におけるオムツ内の空隙分布を有限要素法により予測を行なった.それに対して,平成22年度は紙オムツを構成する部材,特に糸ゴムの物性計測およびモデル化について検討を行なった. 一般に使い捨て紙オムツの構造は(1)表面材,(2)吸収材,(3)防水材によって構成されており,さらに表面材には装着状態を保持するための糸ゴムが腰周りと足周りに複数本接着されている.本研究では空隙量形成において表面材を構成する不織布や,吸収材を構成する吸収体等の物性に比べ,糸ゴムの影響が支配的であると考え,本年度は糸ゴムの引張特性を計測した.計測においては,初期長10mmの糸ゴムを20mm/minで引張り,その際の応力と変位を記録した.それらの計測結果を,昨年度のCAE解析で定義した糸ゴムの材料モデルに適用するために,初期長2mmの応力-変位関数を定義した. 新たに定義した糸ゴムの材料モデルを用い,LS-DYNA ver.970により,静的な条件におけるオムツの装着形状を計算した.その結果,昨年度の材料モデルを用いた解析に比べ,全体的に空隙量分布および圧力分布が現状に即した結果を得ることができた.ただし,吸収材周辺においては現状とシミュレーションの乖離が少なくなかったことから,空隙量形成においては糸ゴム以外の部材も重要な役割を果たしていることが示唆された.したがって,それらの部材の物性についても今後検討を行なっていく予定である.
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