2009 Fiscal Year Annual Research Report
多糖類の相乗効果を利用した吸水ゲルの保水性向上に関する研究
Project/Area Number |
21700732
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
飯島 美夏 Nagasaki University, 教育学部, 准教授 (40367876)
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Keywords | 多糖類 / ヒドロゲル / 水 |
Research Abstract |
マメ科植物の種子から抽出される多糖であるガラクトマンナンは、安価で、高粘度であることから、工業的に生産されている。ガラクトマンナン多糖には側鎖の頻度の異なるグアーガム、タラガム、ローカストビーンガムなどがあり、これらはゲル化、液晶化などの高次構造変化がみられる。本研究では、側鎖頻度の異なるガラクトマンナン多糖に植物由来の各種多糖を添加して、相乗効果によるヒドロゲルを調製した。示差走査熱量分析(DSC)を用いてゲルの高次構造を明らかにし、保水性向上を検討することを目的とした。 側鎖頻度の異なるガラクトマンナン多糖とκ-カラギーナンを混合して冷却し、ゲル化させると、側鎖頻度の低いガラクトマンナンとκ-カラギーナンには相乗効果が認められたが、側鎖頻度の高いガラクトマンナンには混合による相乗効果は認められなかった。 側鎖頻度の異なるガラクトマンナン水溶液を凍結解凍したところ、側鎖頻度の低いローカストビーンガムおよびカシアガムはヒドロゲルを形成したが、側鎖頻度の高いガラクトマンナンはゲルを形成しなかった。側鎖頻度によりゲル形成能が異なることが明らかとなった。ローカストビーンガムまたはカシアガムに植物由来の他の多糖を混合して凍結解凍すると、混合する多糖の種類によりゲル化に及ぼす影響がことなった。この結果から、混合する多糖の分子構造や高次構造がゲル化に寄与することが明らかとなった。 低温でのDSC測定からガラクトマンナン-水系には不凍水が存在することが分かった。不凍水量からガラクトマンナン分子は水分子を束縛することが分かった。今後、不凍水量の定量を行なう必要があると考えられる。
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