2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21700743
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Research Institution | Tokyo Kasei Gakuin University |
Principal Investigator |
海野 知紀 東京家政学院大学, 現代生活学部, 准教授 (90439753)
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Keywords | カテキン / 立体異性体 / 生体利用性 |
Research Abstract |
カテキン類は加熱によりそのフラバン-3-オール構造のC環3位が異性化する。本研究は、元来茶に含まれるカテキン類とペットボトル等の茶飲料に含まれる異性化カテキン類の生体利用性を比較検討するものである。本年度は、茶に最も多く含有する(-)-エピガロカテキンガレート(以下、EGCGと略す)とその異性体である(-)-ガロカテキンガレート(以下、GCGと略す)を実験動物に投与した場合の腸管吸収性を評価した。 EGCGを蒸留水に溶解し、高温・高圧下で処理することにより、GCGを誘導した。次に、メタクリレート系樹脂を充填したカラムクロマトグラフィーでEGCGとGCGの分離精製を試みたが、メタノール-水の混合溶媒を移動相として用いた場合には良好な結果が得られなかった。次に、デキストランをベースとしたSephadex LH-20(GEヘルスケアジャパン)を用い、35%(v/v)アセトンで溶出させた場合、EGCGとGCGの分離が可能となり、これを減圧濃縮、凍結乾燥させることでGCGを得た。 5週齢のICRマウスにEGCGあるいはGCGを100mg/kgとなるように経口投与し、投与後30分、1時間で採血を行った。得られた血液はβ-グルクロニダーゼ、サルファターゼを用いて脱抱合させ、固相抽出カートリッジを用いた前処理を施した後、高速液体クロマトグラフィー電気化学検出器を用いて測定した。その結果、どちらの採血時間においてもEGCGの方がGCGよりも高い血中濃度を示しており、カテキン類の立体構造が生体利用性に影響を及ぼすことが示唆された。カテキン類を摂取後における吸収性の評価は、それらの機能性・安全性の考え方のベースとなることから、本研究で得られた知見は、食品加工によりその食品に含有される成分の生体利用性が異なる結果となるものとして、カテキン類以外にも様々なポリフェノール化合物の機能性・安全性評価と展開させることができると思われる。
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