2010 Fiscal Year Annual Research Report
色素の複合体形成現象に基づく緑茶水色の発現機構の解明
Project/Area Number |
21700747
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
氏原 ともみ 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜茶業研究所・野菜・茶の食味食感・安全性研究チーム, 主任研究員 (60355609)
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Keywords | 食品 / 緑茶水色 / フラボノイド / 金属イオン |
Research Abstract |
緑茶の重要な品質要因である水色(スイショク、浸出液の色)の発現機構を解明するために、本年度は複数の化学成分の共存がフラボノイドの複合体形成と色調変化に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 フラボノイドのモデル化合物として、ケルセチンの配糖体を用いた。緑茶成分として、アミノ酸(トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン、ヒスチジン、テアニン)、アルカロイド(カフェイン、テオフィリン)をケルセチン配糖体の水溶液に加えたが、色の変化は認められなかった。銅、鉄、アルミニウムイオンを加えると、濃色効果が起こった。ここに、昨年度ケルセチン配糖体と複合体を形成し、その水溶液に淡色効果を起こすことを明らかにした緑茶成分のエピガロカテキンガレートを加えると、水溶液の示す色は金属イオンを単独で加えた場合に比べ薄くなったが、ケルセチン配糖体単独の水溶液よりは濃かった。ケルセチンに換算した緑茶浸出液中のフラボノイド含有量に相当する濃度のケルセチン配糖体水溶液は、緑茶浸出液に比べ薄い色をしており、緑茶水色の発現には、フラボノイド濃度以外に何らかの機構が介在することが推測された。本研究では、フラボノイド水溶液の呈する色が、他の緑茶成分の共存により変化することが明らかになり、水色の発現機構を解明する上で重要な知見が得られた。
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