2009 Fiscal Year Annual Research Report
サケ鼻軟骨由来プロテオグリカンの消化管内における機能の解明
Project/Area Number |
21700748
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
伊藤 聖子 Hirosaki University, 教育学部, 研究員 (70466506)
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Keywords | 糖鎖 / 蛋白質 / 栄養学 / 食品 |
Research Abstract |
サケ鼻軟骨由来プロテオグリカンに腸炎モデル動物に対する抗炎症作用が報告され、近年増加傾向にある難治性の炎症性腸疾患を緩和する機能性食品新素材として可能性が期待されている。難消化性成分のコンドロイチン硫酸を糖鎖にもつプロテオグリカンの消化管に及ぼす影響を、食物繊維様作用から解明することは新たな知見であり、腸疾患のみならず各種疾病予防につながると考えられる。そこで本研究では、サケ鼻軟骨由来プロテオグリカンの消化管内での分解・代謝について、難消化性成分含有量を測定するとともに、疑似消化による分解産物について検討した。プロテオグリカンの難消化性成分含有量は、Prosky法に代表される酵素・重量法と、ヒトの消化管内を模した疑似消化反応改変法を用い、各種酵素加水分解後の残渣重量を測定した。酵素・重量法と疑似消化反応改変法ともに酵素消化後に重量が10~15%減少し、これはタンパク質分解による低分子化と推測された。また、疑似消化に用いた各酵素反応における上清と消化後の糖量およびタンパク質含有量に大きな変化はなく、各上清をSepharose CL-4Bゲル濾過クロマトグラフィーに供して分子量分布を測定した。その結果、ペプシン分解反応でタンパク質が分解されている傾向がみられ、その後のパンクレアチン分解反応でタンパク質の低分子化、それに伴う遊離糖鎖の生成が確認された。これより、プロテオグリカンはヒトの消化酵素によってコアタンパク質が分解され、オリゴ糖化する可能性が示された。今後、これらの分解産物の詳細構造を解析するとともに、機能特性について検討していく。
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