サケ鼻軟骨由来プロテオグリカンの消化管内における機能の解明

2010 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 21700748
• Research Institution: Hirosaki University
• Principal Investigator: 伊藤 聖子 弘前大学, 教育学部, 研究員 (70466506)
• Keywords: 糖鎖 / 蛋白質 / 栄養学 / 食品

Research Abstract

サケ鼻軟骨由来プロテオグリカンに腸炎モデル動物に対する抗炎症作用が報告され、近年増加している難治性の炎症性腸疾患を緩和する機能性食品素材としてその可能性が期待されている。炎症性腸疾患は腸内細菌が関与するともいわれ、腸内細菌は食物繊維との関わりが深い。そこで本研究では、サケ鼻軟骨由来プロテオグリカンの消化管内での分解代謝、吸収に関わる食物繊維としての新たな機能および作用を解明することを目的とした。疑似消化反応改変法を用い、各種酵素加水分解後の分解物を調べた結果、プロテオグリカンは消化酵素によってコア蛋白質が分解され、オリゴ糖化する可能性が示された。次に、プロテオグリカンの食品機能性のin vitro評価として、保水力およびグルコース(Glc)の拡散速度に与える影響を調べた。保水力試験では、人工胃液(pH1.8)および人工腸液(pH6.9)にプロテオグリカンを混合し、恒温膨潤させた後に保水率を算出したが、本試験では有意な結果は得られなかった。一方、1% Glc溶液にプロテオグリカン(1、2.5、5%)を加え均一な溶液とし、蒸留水あるいは人工腸液に対して透析、透析外液のGlc濃度を経時的に測定した結果、プロテオグリカンは濃度依存的にGlcの拡散速度を抑制する傾向が明らかとなった。人工腸液中の5%プロテオグリカン溶液で特に効果が高く、プロテオグリカンがGlcを一時的に抱え込み、糖質の吸収が緩慢になる可能性が示唆された。