2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21700759
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Research Institution | Nayoro City University |
Principal Investigator |
山本 達朗 名寄市立大学, 保健福祉学部, 講師 (90379389)
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Keywords | 脂質栄養 / アストロサイト / オリゴデンドロサイト / 髄鞘構築 / DHA / 脂肪酸 |
Research Abstract |
胎生期における母胎からの脂質栄養供給の重要性について検討するために、母胎の妊娠前よりn-3系多価不飽和脂肪酸欠乏食を与えた。妊娠期間も継続して欠乏食を摂取させ、母胎より出生した仔(生後0日目、7日目、14日目)の脳のグリア細胞の発生および発達について、大脳皮質を対象とそして免疫組織学的手法を用いた形態学的観察を行った。グリア細胞の免疫染色には、アストロサイトのマーカーとしてGFAP、オリゴデンドロサイトのマーカーとしてMOSP、髄鞘のメーカーとしてMBPをそれぞれ用いた。その結果、体重変化の観察では、正常食または欠乏食摂取が母胎の成長に影響を与えないことが分かった。また、免疫染色の結果では、アストロサイトは通常食では生後0日目より大脳皮質第VI層において高い密度で分布し、多くの突起を有しているのに対し、欠乏食摂取母胎より出生した仔では、アストロサイトの数が少なく、突起の発達も十分ではなかった。この傾向は生後14日目まで継続して観察された。また、オリゴデンドロサイトにおいては、正常食では生後7日目より成熟したオリゴデンドロサイトが多数観察されたのに対して、欠乏食群では成熟した細胞の数が減少していた。さらにこれに一致して、MBPによる免疫染色では、オリゴデンドロサイトにより形成される髄鞘の形成が、欠乏食群にて遅延していることが観察された。これらの結果は、脳発生・発達期においてn-3系多価不飽和脂肪酸がグリア細胞の発生や成熟に寄与していることを示すものであり、幼若期における適切な脂質栄養摂取の重要性を示唆するものである。
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Research Products
(1 results)