2009 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠高血圧症候群の病態に対する植物性ポリフェノールの有効性と作用機序
Project/Area Number |
21700760
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
向井 友花 Aomori University of Health and Welfare, 健康科学部・栄養学科, 助教 (60331211)
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Keywords | 妊娠高血圧症候群 / 植物性ポリフェノール / 酸化ストレス / 一酸化窒素 / スーパーオキシドジスムターゼ |
Research Abstract |
妊娠高血圧症候群(以下、妊娠高血圧)の病態と酸化ストレスの亢進との関連が注目されている。これまで、研究代表者は、植物性ポリフェノールを含むアズキ抽出物(AB)が高血圧モデルラットの血圧上昇を抑制し、活性酸素であるスーパーオキシド(O_2^-)量を減少させることを見出している。そこで本研究は、妊娠高血圧モデルットを用いて植物性ポリフェノールによる血圧上昇の抑制作用とその分子機構を明らかにし、妊娠高血圧の食品成分による改善方法の探索を目的としている。初年度は、血管拡張因子である一酸化窒素(NO)の合成酵素阻害剤であるL-NAME(N^ω-nitro-L-arginine methylester)を用いてNOの産生を抑制した妊娠高血圧モデルラットを作製し、ABの投与により血圧上昇が抑制されるか、酸化ストレスを軽減するかを検討した。妊娠ラットにL-NAMEを飲水として投与した結果、血圧の顕著な上昇および蛋白尿の亢進が認められ、妊娠高血圧の症状を呈した。L-NAMEと同時にAB含有飼料を投与した群では、血圧はやや低値であったが顕著な低下は認められなかった。妊娠高血圧ラットには胎児死亡や発育不全が認められ、胎盤重量は有意に低値であったが、AB投与群の胎盤重量は正常血圧ラットと同程度であった。また、腎皮質における活性酸素産生酵素であるNADPHオキシダーゼ由来のO_2^-産生量は、妊娠高血圧ラットで有意に増加していたがAB投与による低下は認められなかった。しかし、O_2^-消去酵素であるスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)の腎皮質におけるタンパク質発現量は、AB投与群で増加した。これらの結果から、ABには顕著な血圧上昇抑制は認められなかったものの、腎臓でのSODのタンパク質発現を調節し、妊娠高血圧における酸化ストレスの軽減に関わっている可能性が示された。
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Research Products
(1 results)