2009 Fiscal Year Annual Research Report
鉄欠乏状態における三大栄養素が鉄の吸収・利用におよぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
21700764
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
小林 ゆき子 Kyoto Prefectural University, 生命環境科学研究科, 助手 (10381930)
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Keywords | 栄養学 / 鉄欠乏性貧血 / 潜在性鉄欠乏症 / 酸性キシロオリゴ / 鉄欠乏予防 / 三大栄養素 / 貯蔵鉄 / 鉄代謝 |
Research Abstract |
鉄欠乏性貧血は世界中で頻発している栄養失調のひとつである。申請者はこれまで食事鉄の吸収と利用の過程に鉄と同時に摂取する三大栄養素(炭水化物・タンパク質・脂質)が及ぼす影響について検討し、食事タンパク質源の違いや炭水化物の種類の違いによってミネラル吸収促進がみられ、鉄欠乏回復に有用である可能性を見いだした。したがって、平成21年度では、摂取する鉄量の差異に対して三大栄養素は鉄の吸収と利用にどのように関与するかについて検討した。 1. 鉄摂取量の差異に対する酸性キシロオリゴ糖摂取の有用性 体重が安定した20週齢SD系雌性ラットに3種類の実験食を4週間与え、3日ごとに採血し鉄欠乏の程度を比較し、酸性キシロオリゴ糖の鉄欠乏性貧血予防効果を検討した。実験食はカゼイン食(C群)、除鉄カゼイン食(D群)、除鉄酸性キシロオリゴ糖添加食(U群)の3種類を与えた。飼育期間終了時に解剖し、サンプルを得た。解剖時、すべての群のヘマトクリット値およびヘモグロビン濃度に有意な差は示されず、貧血状態に陥っていないことが確認された。実験開始6日目まで、U群の血漿鉄濃度がC群に比べ上昇傾向を示し、U群のトランスフエリン飽和度はC群およびD群に比べ有意に高値を示したことから、U群における鉄吸収促進が推察された。またU群の総鉄結合能および不飽和鉄結合能は、24日目まではC群と同様の経時変化を示しており、U群では貯蔵鉄の動員がD群に比べ遅延されていたと推察された。解剖時、U群のDMT1およびフエロポルチンのmRNA発現量の増加はD群に比べ抑制されていた。さらに、U群の肝臓中鉄量の減少がD群に比べ抑制されており、U群はD群に比べ潜在性鉄欠乏状態が軽度であったと推察された。以上から、鉄摂取量が少ない状況下においても、酸性キシロオリゴ糖の摂取は鉄に対する還元性および可溶化作用により食事鉄の吸収を促進し、貯蔵鉄の減少を抑制することが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)