2010 Fiscal Year Annual Research Report
鉄欠乏状態における三大栄養素が鉄の吸収・利用におよぼす影響に関する研究
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21700764
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
小林 ゆき子 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 助手 (10381930)
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Keywords | 栄養科学 / 鉄欠乏性貧血 / 潜在性鉄欠乏症 / 酸性キシロオリゴ糖 / 鉄欠乏予防 / 貯蔵鉄 / 鉄代謝 / 妊娠期 |
Research Abstract |
鉄欠乏性貧血は世界中で頻発している栄養失調のひとつである。申請者はこれまで食事鉄の吸収と利用の過程に鉄と同時に摂取する三大栄養素(炭水化物・タンパク質・脂質)が及ぼす影響について検討し、食事タンパク質源の違いや炭水化物の種類の違いによってミネラル吸収促進がみられ、鉄欠乏回復に有用である可能性を見いだした。したがって、平成22年度では、生体内の鉄要求量が増大している妊娠期に対して三大栄養素は鉄の吸収と利用にどのように関与するかについて検討した。 1.妊娠ラットの貧血予防に対する酸性キシロオリゴ糖の有用性 180g前後のSD系雌性ラットを交配させ、3つの群に分けた。実験群は正常対照群(非妊娠)、妊娠(+)カゼイン食群、妊娠(+)酸性キシロオリゴ糖食群とした。プラーク確認時を妊娠1日目として実験食を開始し、21日目に解剖してサンプルを得た。採血は妊娠1、10、21日目に行い、血液指標を測定した。妊娠7~12日目と18~20日目には糞を全量回収して見かけの鉄吸収率を算出した。解剖時にはすべての妊娠(+)群で貧血状態であることが確認された。妊娠(+)酸性キシロオリゴ糖食群の総鉄結合能と不飽和鉄結合能は妊娠(+)カゼイン食群に比べ低下傾向であり、貧血の状態が軽度であると推察された。見かけの鉄吸収率は、妊娠10~12日目では、妊娠(+)群は正常対照群に比べ高い傾向を示した。特に妊娠(+)酸性キシロオリゴ糖食群は妊娠(+)カゼイン食に比べ増加傾向にあり、正常対照群に比べ有意に高かった。妊娠18~20日目では、妊娠(+)カゼイン食群は正常対照群に比べ低下傾向を示したのに対し、妊娠(+)酸性キシロオリゴ糖食群では正常対照群と同程度であった。このことから、酸性キシロオリゴ糖は鉄要求量が増大する妊娠期においても鉄吸収を促進することによって鉄欠乏性貧血の予防に有用にはたらくことが示唆された。
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Research Products
(1 results)