2010 Fiscal Year Annual Research Report
緑黄色野菜中ビオチン含量の栽培環境因子による変動とその作用機序の解明
Project/Area Number |
21700776
|
Research Institution | University of Niigata Prefecture |
Principal Investigator |
曽根 英行 新潟県立大学, 人間生活学部, 講師 (90398511)
|
Keywords | ビオチン / 緑黄色野菜 / 季節変動 / 栽培地域差 |
Research Abstract |
ビオチンの優良供給源となる食品上位25品目、平成16年国民健康・栄養調査報告の結果から日本人で利用頻度の高い食品上位22品目及び周年供給される緑黄色野菜を中心とした野菜類116品目を収集し、食品中ビオチン含量を測定した。なお、野菜類では栽培地域差・季節変動を検討するために、新潟県、関東地方、九州・四国地方の3つの産地から夏季・冬季の2度に分けて試料収集を行い、ビオチン含量の比較検討を行った。更に、植物中ビオチン含量に影響を与える栽培環境因子を同定するために、日照時間(0,4,12時間)・栽培温度(6,12,25℃)・栄養状態(ATP添加の有無)の異なる環境下にて栽培した豆苗を7群調整し、ビオチン含量とビオチン合成酵素発現量を測定した。 その結果、優良供給源では、乾物でビオチン含量が高くなる傾向にあったが、概ねこれまでの報告と同様の結果が得られた。高頻度摂取食品では、肉類、豆腐、食パンでビオチン含量が多かった。野菜類の地域差では、新潟産で低く九州・四国産で高い傾向がみられたが、季節変動には大きな差は認められなかった。その原因として、夏季の全国的な日照量の低下と、冬季の日本海側での日照量の増加が影響したものと考えられる。豆苗を用いた実験では、各群のビオチン含量の差を観察することはできず、ビオチン合成酵素発現量に関しても、低温群で低下したものの、日照量による影響は観察されなかった。種子のビオチン含量を測定したところ、葉中の3倍強のビオチンが検出された。豆苗のようなスプラウトでは、種子から十分量のビオチンが供給されるため、栽培環境因子による影響を観察できなかったものと推察される。今後、種子部分を排除した状態で栽培した豆苗での検討が必要と考えられる。
|