2011 Fiscal Year Annual Research Report
緑黄色野菜中ビオチン含量の栽培環境因子による変動とその作用機序の解明
Project/Area Number |
21700776
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Research Institution | 新潟県立大学 |
Principal Investigator |
曽根 英行 新潟県立大学, 人間生活学部, 講師 (90398511)
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Keywords | ビオチン / 緑黄色野菜 / 季節変動 / 栽培環境 |
Research Abstract |
これまでの検討では、野菜類を収集した冬期の異常気象や豆苗種子に含まれる高濃度のビオチンが影響し、ビオチン含量の栽培環境差を明確にすることができなかった。本年度は、冬期に収穫される野菜類を再収集し、そのビオチン含量の地域差と季節変動について再検討を試みた。また、種子由来のビオチンを排除した豆苗の栽培系を確立し、ビオチン生合成に及ぼす日照量および栽培温度の影響についても再検討を行なった。その結果、野菜類の地域差ではビオチン含量は新潟産で低く九州・四国産で高い傾向がみられた。特に冬期における「ほうれんそう」では新潟産で有意な低下が認められた。また、季節変動では夏期に比べ冬期における新潟産の「ほうれんそう」と「春菊」でビオチン含量の有意な低下が観察された。しかし、水菜にはその傾向が認められなかった。豆苗を用いた検討では、豆苗試料中のビオチン含量は緑化の程度に従い低下し日照量に強く影響されることが示唆された。しかし、日照量の変化(葉緑体量の変化)によって変動することが予想されるATP含量についてはその影響は全く観察されなかった。日照量変化に伴う緑色野菜中ビオチン含量の低下には、ATP含量以外の要因、おそらくはビオチン合成酵素等の低下が推測される。一方、低温下(4℃)ではビオチン含量は常温下(24℃)の66%まで低下したものの弱低温下(12℃)では78%と比較的高い値を維持しており、栽培温度の影響はあまり観察されなかった。以上の結果から、緑色野菜中ビオチン含量には季節変動が存在し、その要因として栽培環境因子、特に日照量が強く影響することが示唆された。冬期、日本海沿岸地方では日照量が極端に低下するため、緑色野菜中ビオチン含量の低下が懸念される。正確な食品成分表を策定するためには、冬期低日照地方における季節別の緑色野菜中ビオチン含量を詳細に検討することが必要と考える。
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