2010 Fiscal Year Annual Research Report
心理学・脳科学的解析による味覚偶発記憶の促進要因解明
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21700779
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
岡本 雅子 帯広畜産大学, 動物・食品衛生研究センター, 准教授 (00391201)
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Keywords | 食情報 / 記憶 / 味覚 |
Research Abstract |
本研究は、日常における味記憶の中心である、味の偶発記憶を促進する要因を、心理学的、脳科学的に解明することを目的とする。従来の偶発記憶のモデルは、視覚、聴覚情報を対象とした研究に基づいており、味覚を対象とした研究は非常に少ない。ことに、視聴覚の研究において、偶発記憶の主要なモデルである、処理水準モデルを味覚に適用した研究がない。そこで、本研究では、(1)味に対する認知処理水準、(2)言語ラベルや色、香りなどの味以外の付随情報(コンテクスト)が味の再認成績と大脳活動に及ぼす影響を実験的に明らかにする。 初年度に当たる本年度は、まずコンテクストの提示方法の検討として、画像ラベルを用いた実験系の有効性を検討した。85名の学生を対象に、食品に関係あり・なし、快・不快、および対照画像の5条件の画像をカップに付与したオレンジジュースを提供した。画像の種類が、ジュースの評価に影響を与えるかを検討した結果、画像ラベルの快因子は「おいしさ」「さわやかさ」評価に影響を与えること、食品との関係因子は、「香りのよさ」評価に影響を与えることが明らかになった(査読付き国際誌掲載、Mizutani et al 2010)。 この成果により、コンテクストの提示方法が確立されたため、同様の実験法を用い、味の偶発記憶に対するコンテクストの影響を検討した。フルーツジュースを用い、92名の学生を対象に、記銘時に提示した果物画像の種類が、再認記憶に影響を与えるかを検討した。その結果、画像が再認記憶に影響すること明らかとなり、味の記銘・再認に、「りんご味」といった意味処理(記憶モデルでは「深い」認知処理水準と呼称される)が関与する可能性が示唆された。さらに、記憶水準の深さは、(1)ジュースの味とラベルの一致度、(2)ジュースの飲用経験、の二つの影響を受けることを示唆する結果を得た。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Package images modulate flavor perception of orange juice2010
Author(s)
Mizutani, N., Okamoto, M., Yamaguchi, Y., Kusakabe, Y., Dan, I., Yamanaka, T(okamoto応答著者)
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Journal Title
Food Quality and Preference
Volume: 21
Pages: 867-872
Peer Reviewed
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