Research Abstract |
本課題は,低年齢の子どもたちへの「理科・防災教育の充実」と「地域の安全・安心」の一助となるために,「地震の揺れ」についての効果的で印象に残る教材・教育手段の開発検討を行うことと,保幼小などの園・学校との連携による教育実践活動を行うことが目的であり,一連の活動を通じて,科学教育の拡充と地域社会への貢献と園児・児童を対象に体験・体感をもって学ぶための実験的研究になることを目指したものである. 今年度も昨年度に引き続き,厳密さよりも楽しさや分かりやすさを求めた「実際に得られた地震動記録をメロディや色で表現する試み」を行い,地震の揺れの特徴(振幅の程度や周期特性)を耳と目で掴めるような方法の模索を行い,昨年度よりも拡張したものを作り上げた.これらは,理科と音楽・図工などの教科の枠を超える内容と話題になると考えられる.また,「地震の揺れをマンパワーで再現するための簡便な教具の製作とその活用方法の模索」については,現実性と安全性の向上を施し,実践の場で用いることを試みた.この実践例としては,保育園での避難訓練での活用が挙げられ,園児向けの地震防災教具および実践手法の開拓にも繋がったと考えられる.なお,この訓練実践には,1~5歳児の参加があり,導入~展開において,楽しさ(遊び)の要素を盛り込んだため,怖がったり泣いたりする園児は一人もおらず,自ら進んで参加する子どもたちの姿が見られた.1歳児までもが参加している点は,過去の例を見ても最小年齢の参加者といえ,特筆すべき点であろう.こうした防災教育を通じた分野・科目の境界を越えた内容の実践例を踏まえ,改善点の抽出をし,教育的効果を高めるための効果検証を行い,教具開発および手法模索と実践のサイクルを繰り返し,さらなる防災教育の拡充を行っていく.一連の内容については,研究成果として順次公表し,改善化の糧とするとともに次の研究へ繋げていきたい.
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