2010 Fiscal Year Annual Research Report
ドライアイスを使用しない霧箱による放射線飛跡の視覚化
Project/Area Number |
21700794
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Research Institution | Hachinohe National College of Technology |
Principal Investigator |
濱田 栄作 八戸工業高等専門学校, 総合科学科, 准教授 (20413718)
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Keywords | 科学教育 / 放射線教育 |
Research Abstract |
中学校「理科」の新学習指導要領に,放射線が約40年ぶりに明記されたにもかかわらず,教育現場で自由に利用できる教材は,少ないのが現状である。身近な材料で製作できる霧箱も,放射線の飛跡を観察する際には,冷却材(例えばドライアイス)が必要となり,カリキュラムや学校行事が過密化する教育現場において,必ずしも使い勝手の良い教材とは言えない。本研究では,教育現場の教員が継続的にかつ柔軟に利用できる放射線教育用教材の開発を実施した。 蛍光体(銀活性化硫化亜鉛)と放射線との相互作用に着目し,放射線飛跡の可視化を試みたが,発光量が極めて微弱であるため,飛跡を観察することはできなかった。しかし,放射性同位元素を含む試料(微量のトリウムを含浸させたマントル)と粉末状の蛍光体を混合したものを暗室で観察すると,放射線による点状の発光が確認でき,教材としての有効性を見出せた。従来の霧箱については,スターリング冷凍機による冷却を試み,箱内に過飽和状態の領域を生成することで,放射線の飛跡を観察することができた。身近な材料による製作法も報告されているスターリング冷凍機は,熱分野の学習用教材としても活用できるものであり,より安価な教材製作も可能と思われる。従来と全く異なる手法として,超音波振動子によりエタノール-水混合溶液を霧化させ,放射線飛跡の可視化を試みたが,観察するには至らなかった。超音波霧化のメカニズムは,未だ明らかにされていない現象ではあるが,超音波により発生した液滴中のエタノールが濃縮化されているとの報告もあり,今後,霧化の条件を精査することで,放射線飛跡の可視化が期待される。
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