2010 Fiscal Year Annual Research Report
タブレットコンピュータを用いた授業分析ソフトウェアの開発
Project/Area Number |
21700810
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
坂本 將暢 愛知工業大学, 工学部, 講師 (20536487)
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Keywords | 教育工学 / 授業研究 / タブレットPC / 教師教育 / 観察記録 / 分析過程の明示 |
Research Abstract |
本研究では、申請者が開発して用いてきた授業分析ワークシートをソフトウェアで実装した。電子版授業分析ワークシートは、webブラウザからアクセス可能なもので、授業映像を観ながら気になるシーンに観察記録(コメント)を付し、それをほかの分析者と共有するものである。本研究では、本ソフトウェアの利用をとおして、授業記録の読みと解釈にもとづく教師教育の可能性について検討することも行った。 観察記録を共有したことで、初体験者Dは、観察記録にはほとんど記録しないことがわかった。授業の中の視覚的あるいは聴覚的に認識できることだけでなく、抽出児童の言動に対する印象や評価について、抽出児童が考えたと予想した事柄や授業のキーワードを用いて、授業について発言する。一方、経験者Eは、抽出児童の授業中の呟きや抽出児童の言動を事細かに記していることがわかった。そして、授業について話す際は、ほかの子どもの発言と抽出児童の言動や考えを関連づけたり、E自身の行動を踏まえたりする。Eは、観察された事実にもとづいて、必要に応じて授業の構造を組み立て直した上で発言していると考えられる。 授業観察での行動と、研究会での発言を分類すると、1)発言記録レベルの観察、2)発言記録には記されないレベルの観察、3)即興的な報告と豊かな表現、4)主観的な報告にまとめることができる。Dには1と4、Eには1と2と3がそれぞれ当てはまる。経験者は、発言記録に記されるような可聴的な発言だけでなく、発言記録には記されないような抽出児童の呟きを聞き取ったり、ほかの子どもの発言を受けた後の抽出児童の行動を観察したりすること、簡単なメモにより刻々と変化する授業や抽出児童の様子を観察することを可能にしていること、抽出児童の言動を評価等することはなく授業の内容を発言記録にもとづいて自分の言葉で報告していること、という特徴が明らかになった。
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Research Products
(3 results)