2010 Fiscal Year Annual Research Report
重度障害児における認知発達の多角的評価と個別的学習支援システムに関する研究
Project/Area Number |
21700820
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
雲井 未歓 鹿児島大学, 教育学部, 教授 (70381150)
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Keywords | 重度重複障害 / 特別支援学校 / 学習の習得状況 / 期待反応 / 心拍 / 認知発達 |
Research Abstract |
1 期待反応関連行動の抽出と行動観項目リストの作成 21年度に作成した「見て理解する力」「聞いて理解する力」「コミュニケーションの力」の3種各14の調査項目では、肢体不自由特別支援学校の児童22名を対象とした調査により妥当性が確かめられた。22年度は、課題の達成順序および評価基準としての精度をより高めることを目的として、対象児を99名に増加させてさらなる検討を行い、学校での運用が可能なシステムとしての開発を行った。また、このシステムが適用された児童の典型事例を対象に、課題遂行中の心拍反応と行動反応の同期解析を行った。評価課題は期待反応に着目した。その結果、上記評価システムの行動観察項目が、授業場面での期待反応表出を抽出するための行動観察項目リストとして有効であることを確かめた。 2 授業設計支援への適用のための検討 上記の検討で期待表出の特性が明らかにされた典型的事例を対象に、授業場面の観察および、授業での教師の働きかけの変容の過程を、縦断的に分析した。観察は、これまでの検討に基づき、VTRによる行動解析と、脈波解析システムによる心拍反応解析を適用した。分析の結果、類似の内容の授業を繰り返し行った場合でも、期待反応の出現様相は日によって異なる場合があった。こうした応答の違いの要因について明らかにしていく必要が指摘された。この点については、教師が「その日の調子」として把握している対象児のコンディションの情報が重要な意味を持つと考えられた。そこで、これの把握のための観察項目を整理し、呼吸性心拍変動による緊張状態の評価と合わせて、さらに検討を行うことが、今後必要な課題として指摘できた。それにより、本研究の方法の授業設計支援としての有効性およびその範囲を明らかにできると考えられた。
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Research Products
(5 results)