2011 Fiscal Year Annual Research Report
重度障害児における認知発達の多角的評価と個別的学習支援システムに関する研究
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21700820
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
雲井 未歓 鹿児島大学, 教育学部, 准教授 (70381150)
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Keywords | 重度重複障害 / コミュニケーション / 学習習得 / 認知発達 |
Research Abstract |
本年度の主な課題は、肢体不自由特別支援学校に在籍する重度重複障害児のコミュニケーション学習の実態把握とそれ基づく指導を個別に設定するためのシステムを開発・検証することであった。前年度までの検討で、コミュニケーションの学習状況を、人に対する注意の機能、人の働きかけへの期待、語彙理解、視覚見本合わせ課題等からなる15領域の認知課題によって把握可能なことを示した。また、課題達成の順序性を明らかにするとともに、学習把握の方法としての妥当性を確かめた。これらの認知課題の達成を通してコミュニケーションの学習がなされるならば、学習途上である領域においては、対応する認知課題の援助条件が、有効な指導課題となる。そこで、各認知課題の援助条件を学習指導場面に適用した指導課題のリストを作成した。指導課題は、目標および働きかけの内容、使用教材、手続きについて整理し、教員が授業に取り入れることができるようにした。その上で、コミュニケーションの学習状況に応じて、達成が望まれる領域の指導課題が提案されるようにした。これらの妥当性は、特別支援学校教員によるコミュニケーション指導の調査を行うことにより、指導課題の提案の妥当性を確かめることができた。以上の成果に基づいて、コミュニケーションの学習把握と指導の提案を行うシステムの開発を行った。学習把握は、認知課題を、聴覚認知、視覚認知、意思伝達に整理して、日常場面の観察と課題場面の応答特徴を記録するものとした。指導課題は、学習把握の結果に基づいて提案されるほか、学校の実態に応じて教員が編集できるものを用意した。学校での利用においては、指導の継続性が重要となるため、結果を個人のプロファイルとして蓄積できるようにし、学年進行や担任の交代に対応できるシステムにした。このシステムは汎用ソフトウェアとして一連の研究成果の知見とともに発表した。学習把握がなされた一事例で、授業場面での応答表出の特徴を行動観察と心拍測定により評価し、評価の妥当性を一部確かめた。
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Research Products
(7 results)