Research Abstract |
本研究では,教育機関が蓄積する学生の授業評価アンケートと,アンケートに対応する科目の成績データから構築される授業満足度・習熟度関連性モデルを用いた,学生に対する適切な指導法改善支援を目的とする. 昨年度までの成果から,提案システムは特定の学生や学生集団の授業間,および成績間の関連性を表現可能である上,複数の関連性モデルを混合することで未知の学生集団の特徴を表現可能であることが確認されている.これらをもとに23年度は提案システムの実用化へ向け,(1)システムの使い勝手向上を目的としたユーザインタフェースの改善や機能追加,および(2)システムの指導法改善支援能力の評価のため,教員を被験者とする主観評価実験の実施に取り組んだ. (1)では具体的に,利用者(教員)が教科間の関連性を発見しやすいよう,提示する関連性モデルの注目すべき部分を視覚的に目立たせたり,一見して分かりにくい確率的出力部分に例文を加えたりすることで利用者の理解促進を図った.また,関連性混合モデルを利用した確率推論によって,特定の特徴を有する学生の今後の予測や,問題を有する学生の原因分析を実現する機能を追加した.(2)で実施した主観評価実験の結果,システムの視覚的な理解しやすさや,指導法改善支援のため加えた機能が,利用者の使い勝手向上や指導法改善につながる知識発見に貢献していることを確認した.予測や分析に要するデータ数が十分でなかったため,当該機能に関する評価は当初の想定より低かったが,予測や分析が当該システムによって実現可能なこと,およびこれら機能の精度を向上させることで,利用者のさらなる知識発見を促進可能であることが確認された.当該研究を進めることで,利用者(教員)自身が担当しない他教科との関連性をも活用した,利用者にとってより効果的,かつ学生にとっても有益な指導法改善を実現可能となることが期待される.
|